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一橋大学と帝国データバンクは、連携・協力協定と共同研究契約に基づき、共同研究の拠点として、2018年4月に経済学研究科に「帝国データバンク企業・経済高度実証研究センター」(TDB-CAREE)を設立しました。これは一橋大学にとって、民間企業との最初の共同研究センターの設立事例であり、産学連携による共同研究所の先駆けとなるものです。私は2018年4月から1年間、センター長を務めましたが、2021年4月から前任の岡田羊祐教授に代わり、再びセンター長を務めます。どうぞよろしくお願いします。
本センターでは、帝国データバンクの企業データ等のさまざまなデータを用いて、一橋大学の教員・学生と同社の社員が企業・産業・経済全般に関するさまざまな実証分析を行い、研究成果を広く社会に発信しています。また、他大学からも多くの研究者や院生が客員研究員または研究補助員として参加しています。近年、経済学における実証(計量)分析の手法が大きく発展し、企業等のミクロデータを用いた実証分析の重要性が、学界のみならず、企業経営・組織運営の現場や政策の立案においても強く認識されるようになっています。このような状況の下、産学連携に基づくミクロ実証分析の研究拠点としての本センターの役割は、ますます重要になっています。
一橋大学は、社会科学の総合大学として150年近い伝統を誇り、経済学・計量経済学分野のQS世界大学ランキングで毎年継続して100位以内に入る高い研究・教育水準を誇ります。また、経済学研究科と経済研究所を中心にさまざまな分野の研究者を揃え、各種の長期経済統計やミクロデータベースの整備・利用促進と、それらを用いた高度な実証研究の実績を持ちます。
そのような一橋大学と帝国データバンクによる共同研究拠点の設立は、日本の社会科学、特に実証的経済研究を世界的水準に高め、より良い企業戦略や政策設計に大いに貢献することでしょう。多くの皆様が本センターの研究活動に関心を持たれ、または直接参加され、本センターの研究活動がこれからさらに発展するよう、ご理解とご支援をお願いします。
センター長(一橋大学経済学研究科教授) 岡室博之
一橋大学経済学研究科 帝国データバンク企業・経済高度実証研究センターは、帝国データバンクが保有する企業ビッグデータおよびデータエンジニアリングの技術を用いて、一橋大学経済学研究科の教員を中心とするさまざまな経済学研究者による経済の実践的な実証分析を行うために設立されました。
日本国内は、少子高齢化が進み、企業数の減少も視野に入る中、経済政策はもちろん、企業戦略においても効果的な施策・戦略策定が求められます。従来型の「経験と勘と度胸による施策・戦略立案」から「データや証拠に基づく施策・戦略立案」への移行です。
これまでの経済研究における実証分析は、様々な制約や、分析のための元データが存在しないなどの理由から、一部のデータから統計的手法を用いて推量したり、一部企業のケースを活用したりする手法がとられてきました。この制約を解決するのが、ビッグデータの存在と、データ解析能力があるコンピュータの発展です。当センターにおいては、各種データを活用する環境を整えることで、全量データを活用した研究を可能としています。
研究において全量データを活用するということは、研究の精度の大幅に上昇させることを意味します。また一部のケーススタディに頼らないという点も、研究結果の汎用性を向上させることができます。より多くの経済政策、より多くの企業戦略が成功するためにこそ、この汎用性は重要になります。これこそが、ビッグデータを活用した研究が、今後の日本経済に必要と考える理由です。
センターに参加する研究者の皆さんと一緒に日本経済に大きなインパクトをもたらすたくさんの研究成果が出すことで、日本経済の発展に貢献してまいりたいと考えております。
副センター長(帝国データバンク常務取締役海外担当) 後藤健夫